寝ながらスマホ
布団に入ってからもダラダラとスマホをいじる。 寝入り端に画面の光源をまともに食らった二つの眼球は、もうクタクタだ。
眠りが浅くなるのが分かっていて やめられないのだからこれは中毒だ。
指先がスベスベのフィルムの感触を確かめながら、幾重にも張りめぐされたガラスの底に、科せらててもいないタスクを覗く。
ふと、ガラスに反射したオレ自身と目が合う。そんな隙だらけの呆けた顔で近寄って来るな!すかさず目に力を灯して今のは無かったことにする。
もう電車も走らなくなった時刻の高架下のヤサにて、スマホのタスクが空になる。
あとからあとから涌いてくるはずなのに空になるんだ。いや、空っぽになったのはオレの頭の方か。もう限界だ。
空になったはずの脳髄を指先がまだ彷徨っている。 スベスベの画面。 もう、まったく意味を成していない行為はオレの寝落ちで幕となる。
始発が通過する音を、オレはまだ聞いたことがない。