混沌をして語らしめる

読書記録とKJ法

府中試験場に原付免許を取りに行った日記(長文注意)

筆記試験

自分の座席をさがす

入室すると黒板の前に鉛筆と消しゴムが沢山 用意されていた。1本持って行くようにとのことで、どれでも良さそうなものだが、ついつい選んでしまう。黒板には席の位置と受験番号との照応表が張り出されていたが見方が良く分からず教室内をうろうろし、席についている人に怪訝な顔をされる。やっと探し当てて着席する。

二人掛けの机で参考書を開く

隣には先客があり、参考書を開き復習には余念がない。俺も老眼鏡に掛け替えて参考書を取り出す。隣の席の若者が見ているのは、デザインから、俺の物と同じ出版社の物らしい。申請書と受験票をどうしたものかと悩んだが、そのまま机の上に出しておく。俺のあとからも受験者が三々五々入室してくる。暫くして若い婦人警官が現れ、机の上に申請書だけ出して、その他の物は全部しまうように指示される。

カンニングは永久追放

最初にマークシートが配られた。書ける所だけ先に書いて待機しているように言われる。まだ入室してくる受験者がいて、たぶん手続きでマゴついて遅れてしまったのであろう。そのうち、先ほど窓口で手を煩わせた係官が現れ、問題用紙が配られた。問題用紙の方には書き込みをしない事。鉛筆や消しゴムは落としても自分では拾わず、静かに手を上げる事。カンニングは厳罰の事。等の注意を受ける。こんな所でも悪事を働く奴はいるらしい。少し間があって、無免許運転したことのある者は居ないか、とのことだが、皆終始無言。

テスト開始

液晶モニタに残り時間表示 テストが始まる。残り時間は黒板の上に設置された液晶のモニターに表示される。2台並んでいたが この試験場では原付と仮免の試験が同時に行われており、各々制限時間が違う。左の画面が原付の残り時間、あと27分。問題は順調に解答出来ているが、途中でマークしている番号がずれていないか気になる。全部ずれてたら0点だ。急いで点検する。誤りはないようだ。

最後の見直し

全問解答し終わり画面を見たら残り10分くらいだった。全 48問中判断に迷う問題が2問あったので、それを中心に問題文を考え直してみる。途中退席は許されていたが、俺はそんなことはしない。

全員起立!「ヨシ」

終了時間となり、手を止めその場に起立の姿勢を取るように言われる。席から全員左の通路にずれ、列になってゆっくり黒板の方へ進む。教壇の所には先の婦人警官と窓口の係官が立っており、問題用紙と解答のマークシートをチェックしている。「ヨシ」と言われるまで試験室を出てはいけない。俺は婦人警官の方に問題用紙とマークシートを2つ重ねにして渡す。「ヨシ」と言われたので軽く会釈して出口へ向かう。

廊下の長イスで休憩

廊下に出ると他の教室からも試験の終わった受験者が大ぜい出てきて、長イスでダベっている。友達同士なのだろう。俺も長イスに腰をおろす。申請書と受験票それと領収書を散逸しないように参考書にはさむ。

合格発表

合格発表まで登録カード作成

合格発表の時間は黒板に板書しておくとのことだったが、見忘れたので自分の試験室の入り口から、そっと覗いてみる。老眼鏡を掛けたままだったので良く見えない。普通の眼鏡に掛け直してもう一度覗くと、10時22分と板書されていた。あと20分ほど時間がある。先に暗証番号用の登録カードを作成しておくように言われていたことを思い出す。何に使う暗証なのか分からないまま、料金窓口の脇ある機械を操作して登録カードを作る。また長イスに座り、しばし休息。そうしているうちに合格発表の時間が迫ってきた。

その場にいないと棄権扱い

合格発表時にその場にいないと棄権したと見做されるとのことなので、気が気でない。入り口の前でうろうろしてしまう。ふとブーツをはいた老齢の警官と目が合う。すると原付の人はもう少し待つようにと言われる。実はこの警官が今回の実地講習の担当だった。

俺の受験番号は?

やっと入室が許され、試験で着席した所と同じ所に座る。まもなく前の画面に合格者の受験番号が表示された。俺の番号は…ない? いや、あったあった。合格だ。前の席のおねいちゃんも合格だ。一番前の席のおじさんは不合格。席の並びそのままの位置に番号が表示されるので、誰が落ちたか一目瞭然だ。俺の席の後ろの席にも落ちた人がいる。思わず振り向きそうになったが武士の情け、それは止めておく。さっきの婦人警官より、午前の試験に落ちても、すぐ午後の試験が受けられるとの説明がある。

不合格者は退席せよ

俺の申請書を直して呉れた係官より不合格者は即退席を命ぜられる。また2名の実地講習免除人が居り、交付手続きの為に退出してゆく。こうして室内には男性4名、女性2名が残され、二人の試験担当官と入れ替わりに さっきの老警官が現れた。いよいよ実地講習が始まる。実際にスクーターに乗るのだ。

実地講習

試験場館内移動

老警官から手渡された講習参加同意書に署名させられる。読めば分かるのだが「上から4行目に今日の日付を書く」などと指示が細かい。老警官からはぐれないようにと注意され「てきぱきと行動し、午前中に免許をもらって帰りましょう」と言う。言われるままに老警官の後をぞろぞろついて行く。

講習受講料と免許交付手数料を払いましょう

最初に連れてこられたのは、さっきの料金窓口だ。ここで先ほど作った登録カードと申請書を提出し、受講料と免許交付手数料合わせて6,150円払うのだが、本に挟んだ登録カードを取り出すのにまごまごしていると、結局俺が一番最後になってしまった。列に戻ると老警官は俺の手から講習参加同意書をひったくって、また ぞろぞろ行進を再会。

写真撮影

次に連れてこられたのは写真撮影の部屋。狭い室内には撮影の機械とイス一つ。撮影係官に申請書を渡し、さっきの登録カードをバーコードを読み取る所へ翳すと、係官の手元にあった俺の申請書はスルスルと機械の中へ吸い込まれる。多分一生見ることはないのだろう。イスに座り、姿勢の注文が若干あり、すぐ撮影は終わる。

ものものしい防護服とヘルメットの着用

それから渡り廊下みたいな所をぞろぞろ進み、着いた所は大きな液晶モニタの置いてある教室だ。机に荷物を置き、用意してあった防護服の着用を命じられる。勝手がわからず まごついていると側にいた係官が手伝って呉れた。ヘルメットも着用。我ながら あごひもがきついと思ったが調節の方法も知らないので、そのままコースへ出ようとしたら、これも側にいた係官が直して呉れた。皆、割と親切だ。最初のコースは直線コースだった。人数分のスクーターが横一列に並べられ、50メートルくらい先には衝撃吸収用の黄色いマットが敷いてあるというものものしさだ。実際、負傷する者もいるらしい。

鬼教官の紹介

教官の簡単な自己紹介があり、乗れる人もガマンして参加して欲しい事、大声で怒鳴ったりもするが、決して個人を攻撃するものでない事、等の訓示がある。

スクーターに乗る前の正しい姿勢

座り方 最初の科目だが、エンジンのかけ方などではない。スクーターを前にした佇まいの事、つまり所作である。スクーターに乗るとは武士道と見つけたり。曰く、スクーターの左に立ち、スクーターと平行して肩幅やや大きめに足を開き、左手で左ハンドルをブレーキごと握り、右手はリアのパイプを持つ。いきなり右ハンドルを握るべからず。これが「正眼の構え」である。曰く、停車中は左足だけで踏ん張り、右足は出すべからず。車が後ろより急接近の際、右足を持っていかれるからである。スタンドを倒すときも立てる時も「正眼の構え」を維持する事。

方向指示灯は見ないで操作せよ

「所作」の科目が終わり、計器類の説明に入る。左ハンドルの下に付いているボタンが警音器。むやみに鳴らすべからず。左ハンドルグリップの所にあるスライダーボタンで方向指示灯を制御する。右にスライドすれば右点灯。押し込めば解除、左も同様。これを見ないで操作できるようにしておく事。

エンジン始動

と、ここまで来て愈々エンジンをかけることになった。右ハンドルの下にあるのがエンジン始動ボタンで左ハンドルの警音ボタンと形状は変わらない。指導通り点火キーを廻し、始動ボタンを押すがエンジンが かからない。何か忘れている。左ブレーキを握らないとスクーターはエンジンがかからないのだ。

直線コース走行

科目は「走行」まで進んだ。と言っても最初は直進するだけだ。恐る恐るアクセルを廻すとスクーターは動き始めた。ところが まっ直ぐ走れないのだ。なぜか右へ右へと曲がってしまう。衝撃吸収マットの手前まで走行し、戻る為にスクーターを降りて車の取り回しをしなければならない。左へ目いっぱいハンドルを切りスクーターを押し コースト垂直になった所で今度は右へハンドルを切ってバックさせればスクーターは走行方向を向く。ところが あまり右に寄ってしまった為、バックする際に隣の人のスクーターに接触しそうになる。もう少し離れてくれと教官から注意される。

粛々と直進3往復

そうした走行を3往復ほどやらされる。コースそれぞれの終端には教官達が鬼のような形相で両手を広げ立ちはだかる。と言いたい所だが まともに顔を見ることは出来なかったのでどんな形相をしていたかは知らず。

最初に怒られる

直線コース最後の走行では係官の立ち位置が少し後方に下がっており、皆 教官の手前まで走ったのに、どうも前回までのタイミングでアクセルを戻してしまったら、教官のかなり手前で止まってしまった。「人と同じようにやってくれ」と怒られる。

いよいよ本コースへ出る

直線コースの教習が終わり本コースの教習となる。教官の指示は、とにかく自分の後をついてくる事。コースに出ると交差点もあれば急カーブもある。不安を覚えつつエンジンを始動しようとすると、そんな俺の不安を見透かしたように一人の教官が近づき、「そんなガチガチになってたら駄目だ。力を抜け」と言い、俺の乗車姿勢を細かく修正される。

聞きしに勝る府中試験場の厳しさ

いよいよ発進。発進合図のウインカーを出しっぱなしで走行し教官の怒声が飛ぶ。俺だけじゃない、他の連中も こってり絞られているようだ。聞きしに勝る府中試験場の厳しさよ。とにかく夢中で教官の後ろをついていく。何周したのかも覚えていない。しかし一周目より二周目と走行が安定してきた手応えもあった。最初は危なっかしかった急カーブもうまく曲がれるようになって来た。少しだけ走行が楽しくなってきた。天候は良く、小春日和といった趣。体に受ける風が心地よい。実地教習が終わりスクーターを降りる。すぐ担当教官の講評。「君のような運転で公道を走ったら、必ず事故を起こす」深く反省する。

座学講習

教官に絞られて意気消沈の皆々

みんなで教室に戻ると さっきの老警官が待ち構え「緊張したか」「元気だせ」と声を掛けられるが、皆しょんぼりしている。俺が防護服を脱ぐとハンガーを持ってきて呉れ恐縮してしまう。あとはもう、この人の講話を聴き、ビデオを見て終わりだ。

元白バイ警官の講話

老警官の自己紹介から始まる。佇まいからそうではないかと思ったが元白バイ警官だそうだ。味のある話し方で、実地の緊張はかなり和んだが、講習取り消し印というものがあって講習中に居眠りしたりすると押印されると釘を刺すことも忘れない。手慣れた感じで粛々と進行して行ったが、最後のビデオ上映の時、この老警官、この手の機器の操作は苦手らしく、ぶつぶつ独り言を言いながら無事上映が始まった。

講習取り消し印!

ビデオの内容は原付が事故るパターンというのをいくつか見せて注意を喚起するというものだった。上映が終わり申請書から切り離して持っていた半券のようなものに講習終了の印を押してもらう。隣のおにいちゃんに「君には講習取り消しのスタンプをあげよう」と笑えない冗談を言う。おにいちゃんは「かんべんしてくださいよ」と苦笑する。

免許交付

本籍照会

そんなやり取りを最後に教室を出て、みんなで免許の交付所に向かった。免許を受け取り、機械で本籍を照会し間違いないかを確認するのだが、この時にさっきの登録カードの暗証番号を使うのだ。

どこで使うの?

ここ以外のどこで この番号を使う機会があるのかと思うのだが、登録カードには「免許証と一緒に保管しないでください」と書いてある。だから登録カードは未だに参考書に挟んである。